軽貨物から一般貨物事業(緑ナンバー)へ――
単価アップ・元請け契約・事業化・将来の安定など、前回の記事でその大きなメリットをご紹介しました。
しかし、メリットが大きい分、「緑ナンバーの取得」には厳格な条件と準備が必要です。
ここを甘く見てしまうと、申請は容赦なく不許可。
半年かけた準備が水の泡になる…という失敗例も多発しています。
今回は、緑ナンバー取得に向けた準備リストと申請通過のための注意点を、実務ベースでお伝えします。
目次
✅ まず押さえておくべき「緑ナンバー取得の5大要件」
以下は、運輸局が定める「一般貨物自動車運送事業許可申請」の主な審査項目です。
要件 | 内容 | 補足ポイント |
---|---|---|
① 営業所の確保 | 事業に使用する事務所。土地建物の使用権を証明できること(登記簿、契約書など) | 自宅不可/用途地域も要確認 |
② 車庫の確保 | トラックを保管する場所。営業所から直線10km以内が原則 | 狭すぎるとNG、他人と共用も注意 |
③ 車両の準備 | 原則5台以上(緑ナンバー登録可能な貨物車) | リース可/使用権契約証明が必要 |
④ 人員の確保 | 運行管理者(資格者)と整備管理者(選任)を配置 | 兼任可能/外部委託不可 |
⑤ 資金要件 | 開業に必要な資金を自己資金で確保していること | 通帳写しで実態確認されます |
🛠【実務】緑ナンバー取得に向けた準備リスト
1. 事前調査と要件確認
- 営業所の用途地域(商業地域 or 準工業地域が理想)
- 車庫の車両収容台数・進入経路(トラック進入の可否)
- トラックの確保方法(購入・リース・譲渡など)
2. 書類準備
- 営業所・車庫の土地建物の使用承諾書/賃貸契約書
- 車検証・リース契約書(車両分)
- 運行管理者の資格証コピー
- 通帳写し(資金証明)
- 定款・登記簿(法人の場合)
3. 申請書の作成
- 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書
- 運行計画/事業計画書(収支予測含む)
- 車庫図面・見取図
- 運行管理体制図
※申請内容は非常に細かく、1つでも不備があると差し戻し・却下されます。
⚠ 許可申請で“やってはいけない”5つの失敗
①「とりあえず営業所は自宅で」と考える
→ 多くの自治体では自宅の住宅用地で営業許可は下りません。用途地域の確認は絶対。
② 形式的な車庫契約で通そうとする
→ 月極駐車場や他社名義での契約はほぼ通りません。事業用として単独契約&使用承諾が必須。
③ 資金をかき集めて一時的に通帳に入れる
→ 通帳の動きを「見せ金」と判断されれば即NG。実態のある資金管理が求められます。
④ 運行管理者の選任基準を満たしていない
→ 資格は持っていても、実際に常勤できない人はNG。外部の名義貸しも違反対象に。
⑤ 書類を「なんとなく」で自己流作成
→ 不備が出れば修正に数週間〜数か月。最悪、再申請で一からやり直しも。
専門家のチェックを必ず受けるべきです。
💡 申請を成功させるためのアドバイス
- 事前相談を管轄の運輸局にしておく(これが超重要)
- 行政書士など専門家と連携し、書類を緻密に作成
- 営業所・車庫は早めに現地調査、写真・図面で客観資料を準備
- わからない点は素人判断せず、必ず確認すること
🟢 まとめ:本気で「事業」にするなら、準備は手を抜くな
軽貨物(黒ナンバー)と違い、緑ナンバーは**「公に認められた物流事業者」**の証です。
だからこそ、求められる準備・基準は高くて当然。
このハードルを超えられる者だけが、
・高単価案件
・元請け契約
・ドライバー雇用によるスケール化
・法人化による信用と資金調達力
という“運送ビジネスの本流”に入ることができます。
▶ 今の軽貨物に限界を感じている方、緑ナンバー取得のサポートや専門家紹介も可能です。お気軽にご相談ください。
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